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拝啓 千年後の君たちへ

Column|1000年後の未来を、あなたはどう想像しますか?

日々関心が高まる「サステナブル」というキーワード。
皆さんが思うサステナブルな取り組みとは何ですか?
実は、あまり具体的にそれについて考えたことがある方は、意外と少ないのではないでしょうか。

そこで今回は、具体的なテーマとしてSDGsで定められた17のゴールの一つである「気候変動に対する対策」を取り上げ、一緒にサステナブルについて考えたいと思います。

技術ポイント
 SDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)とは、2015年9月の国連サミットで採択されたもので、2016年から2030年の15年間で達成するための目標です。
SDGsに関する三菱ケミカルの取り組みについては、https://www.m-chemical.co.jp/csr/activities/index.html を参照ください。

【背景①】

2000年以降、地球温暖化は世界規模の問題として取り上げられております。
年々、地球温暖化はますます進行しており、日本は亜熱帯気候に近づいてきているとも言われております。

地球温暖化とは、温室効果ガスと言われる二酸化炭素(CO2)が大気圏に蓄積され、太陽の熱を吸収して大気を温めることが一つの要因であると言われております。
この主原因であるCO2の排出増に悪影響を及ぼしている最大の要因は化石燃料因による大気への排出です。これは世界のCO2排出総量の約9割をも占めます。

地中に存在する化石燃料を地表に掘り出し、それが焼却されることにより空気中のCO2が純増することが大きな原因の一つです。アパレル業界において年々この化石燃料を主原料とした合成繊維の使用量は右肩上がりに増加しております。この点に対する対策としてリサイクルポリエステルが台頭してきている背景には、原料の再利用により地中の炭素が地表に放出されることを抑制する目的があります。

【背景②】

しかし、実は地表のCO2を、吸収し減少させる機能がこの地球上には存在します。皆さんも光合成という言葉をお聞きになったことはありますでしょうか。
地球上の陸地の約3割は森林が覆っていると言われております。この森林による光合成により空気中のCO2が吸収されております。
ただ、今この瞬間も世界中で様々な目的により無秩序・違法に伐採され、この大切な森林が破壊されております。
その森林の減少数は、1.2秒にサッカーコート1面分とも言われております。
この森林の減少によって光合成によるCO2の吸収量も減少し、地球温暖化を加速させることになっております。
世界の年間CO2排出量の約1割はこの森林伐採と土地転換によるとも言われております。

【取り組みについて】

これらの問題に対して皆さんでもできる取り組みとして、「木からできた繊維」を選ぶということがあります。そしてその木は違法に伐採された木材であってはいけません。
レーヨンやリヨセルを始めとした木材から作られるセルロース繊維は、今や私たちの洋服には欠かせない原材料の中でも正にこの問題に直結する素材です。私たちトリアセテート繊維ソアロン®も、これらと同じく天然の樹木を原材料とするパルプを主原料とした繊維です。

では、その「違法に伐採された木材を使用していない繊維」はどのように見分ければ良いのでしょうか。
一言にきちんと管理していると言っても徹底具合は一概には違うし、環境負荷度もバラバラで選ぶのも難しいですよね。

その様なお悩みを解決し皆さんに安心してご使用いただく為に、様々な世界的な認証を取得致しました。
その中でも上記内容に関する認証を取り上げ、その認証がどのようにサステナブルであることを意味するのかご紹介させていただきます。

技術ポイント
 製品の安全性等の「モノに対する認証」だけでなく、環境負荷低減を目指した生産プロセスやCSR(企業の社会的責任)に配慮した工場運営等まで、原料から製品までの一貫したサステナブル確立に取り組んでいます

【サステナブル①森林認証 ~ソアロンは森林を守る、作る~】

健康的な森林とは植林→間引き→育成→成長した木の伐採を繰り返すことで維持されます。
間引きのされない森林は日光が十分に行き届かず木々が朽ち枯れてしまい森林破壊が起きます。また不必要な伐採も同様に森林破壊を引き起こします。
ソアロンは原料木材の調達からサステナブルに配慮することにより、生産工場での認証を受けることができました。

技術ポイント
 原材料の木材を伐採する森林まで遡り持続性に配慮。古代森林や生態系を保護するだけでなく、伐採方法や地域の人権まで考慮した原料調達を実施しています。詳細はhttps://www.soalon.jp/images/news/200402_2/200402_jp.pdf を参照ください。

【サステナブル②バイオマス認証 ~他合繊に比べ空気中のCO2を増加させない~】

「CO2の排出」に関しまして、本来の問題点は地中に埋まっていた石油由来の炭素が地表の空気中に放出され、空気中のCO2の総量が増加してしまうことにあります。
ポリエステル繊維等の石油由来の化合繊製品が廃棄・焼却される際に放出されるCO2は、もともと地中に存在していた炭素が新たに放出されることになります。
その点ソアロンは木材由来であり、その部分から焼却時に排出されるCO2は、本来大気中に存在していたものが再び大気に還ることであり、地表上のCO2は増加しないことになります。
よって、ソアロンはそれら化合繊に比べサステナブルな素材であると言えます。

技術ポイント
 大気中の二酸化炭素の増加による気温の上昇は、海面の上昇や異常気象(砂漠化・集中豪雨など)の原因にもなるため、一刻も早い対策が必要です

【まとめ】

持続可能な開発とは将来のニーズを損なわないよう、現代のニーズを満たすことです。
サステナブルという言葉は、決して単なる売り文句ではありません。私たちやこれから生まれてくる子供たちの明るい未来の為に、一人ひとり一社一社が今この瞬間から意識しなければいけない社会的責任なのです。

私たち三菱ケミカルはサプライヤーとの協力を行い、持続可能性に配慮した原料並びに製造方法による商品開発を探求し促進しています。

補足:
これまで世界では原糸レベルで“サステナブル度“を数値化し、環境負荷への対策を講じてきました。

出典)温室効果ガスインベントリオフィス全国地球温暖化防止活動推進センターウェブサイト(http://www.jccca.org/)より